シンフォニック=レイン


コンプ。
音ゲー部分は、慣れれば(一番易しい設定で)僕でも問題なくクリアできるようになりました。最初は絶対に無理だと思ってたんですけどね。頑張ればノーマルでもいかるかも、と思い始めてしまう程度に優秀なゲームバランスでした。(ちなみに僕は、パラッパラパーの2面がどうしてもクリアできなかった男です)


3人のヒロインのシナリオ(da capo編)が終わると、その後に別視点から物語を描くal fineが始まります。はっきり言ってda capo編は、それ単体での出来はあまり良くありませんが、al fineと、その後にクリアできるようになる隠しシナリオだけで充分に元が取れました。以下、ネタバレで。


頑張り屋さんだけど、良い娘だけど、すげー可愛いんだけど、シナリオは終盤まで退屈そのものです。練習したり夕飯食べたりするだけで、話が全っっっ然動かないんだもんなぁ…。その分ダレまくって油断してたので、終盤のイベントにはちょっとビックリしました。ぶっちゃけ、al fine編よりもこれの方が予想外でしたし。


で、もちろん僕はファルみたいな娘は大好きです。「利用できるものは利用する」みたいな嘯きも、偽善ぶるのを止めたと言うより、むしろ偽悪趣味としか思えませんし。その辺はアーシノも一緒ですね。ファルやアーシノの行動を偽善だと言うなら、この世に本物の善行なんてあるわけないのです。一般的な「善人」は、わざわざそんな自分を追い詰めるような事は考えないってだけっしょ。


ただアーシノがそうであったように、いざとなればどれだけシニカルな奴だろうと、「いやいや、俺は別に根っからの悪人じゃないっすよ」と少なからず自分の善性を信じて縋るものなんだけど、愛すべきファルたんは自分を徹底的に追い詰めずにはいられないわけですな。可哀相な娘だと思います、はい。


ただしキャラとしては大好きですけど、シナリオはやっぱりイマイチだと思います。終盤に凄く驚かされたのも、単にそれを予想させるだけの伏線が充分に張られてはいなかったからこその予想外で、けして褒められることじゃないでしょう。理想を言えば、ファルがネタをばらした時点で、それまでの伏線が全てカチリと嵌るような感覚を味わえれば文句なかったと思います。しかし実際には、ファルやアーシノがクリスに対してどんな裏切り行為をしたのかはal fine編まで判らなくて、al fine編でそれを知るまでは「いったいあの二人は何をしてたんだ…!?」という後味の悪さに悶々としてました。


いざ知ってみれば、なんだ、その程度か。可愛いもんじゃん。ヽ(´ー`)ノ


後になって考えると、孤児院から帰ってきた直後のファルの歌声に「今まで足りなかったものが加わっていた」というイベントは、ようは彼女がどれだけ偽悪ぶろうとも、そこには確かに彼女の心からの哀しみが潜んでいるという証明なわけですな。この辺の伏線を消化しきれていないというか、なんつーかハッピーエンドを迎えるだけの伏線が揃っているにも関わらず、何故か悶々とした気持ちを残したまま終わってしまう『天使のいない12月』みたいな感じを受けました。或いは強制でバッドEDの方しか見れないAIR美凪シナリオとか。


まぁ、どういう形がハッピーなのかバッドなのか、それは僕が決める事じゃありませんし、これはこれで味のある終わり方だったから別に良いんですけどね。何でもかんでも救済して感動系に持っていけば良いというわけでもないですし。ただ感動系エロゲに毒されている僕の脳には、リセEDにしろファルEDにしろ勿体なく感じてしまいました。例えばもしこれがKeyならば、既存のリセEDとファルEDを残したまま、リセEDならリセと父親がお互いを理解して和解するようなEDを、ファルEDならファルが心から自分の善性を信じて笑えるようなEDを、それぞれトゥルーEDとして加えたんじゃないかと思います。


あ、もちろんそれが良いか悪いかは別として、ね。満面に幸せなEDがないからこそ、評価されるゲームデザインというのも普通にありますし。



一気に最後まで感想書くつもりでしたけど、夕飯食ってきます。咎狗の血もちょっと進めたいですし。