Quartett! (Littlewitch)
- 出版社/メーカー: リトルウィッチ
- 発売日: 2004/04/23
- メディア: CD-ROM
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いや、『白詰草話』の時だってそれなりに驚いたけれど、今回はコマ割りが上手くなったせいか、前作以上にテンポが良くて爽快です。FFDってここまでやれるシステムだったのかー! 台詞以外の全ての情報が絵(擬音含む)と音だけで表現されるから、ドツキ漫才みたいな日常会話が軽快で凄く楽しいです。まぁ、コメディ要素なんて一部でしかないんだけれど、僕はけっこう素で何度も笑っちゃいましたよ。やっぱりギャグって“間”が全てなんですねぇ。前作は妙に哲学っぽいやら風呂敷広げすぎやらで微妙なシナリオでしたけど、今回は無難に手堅くまとまってるのも良かったです。ラストもワリと盛りあがってホロリときたよ。
このゲームはシナリオに期待するようなゲームじゃない、と前置きをした上で、それなりに及第点をあげられるシナリオだったと思います。いや、くれぐれもそれに期待して買っちゃ駄目ですけど。
このシステムって基本的に何でもできちゃうからこそ、作り手側にトータルな力がいるというか。普通のエロゲのシナリオって「脚本」とほぼ同じ意味でしかないんだけれど、FFD使ったシナリオは「脚本」と「演出」の割合が半々という感じです。いや、むしろ演出寄りかな。ここまでやられると既存のゲームシナリオとは横並びにして比較し難いんですよね。
ゲームに何を求めるかにもよるでしょうけれど、トータルで見てこのゲーム、かなり良い線いってたんじゃないかと。個人的に前作で不満だった点が概ね改良されてるのも好感持てました。各キャラの個別パートが薄くてヒロインの魅力を描き切れなかったとか、構成面ではまだ少し問題点が残ってるけれど、それ以上に見るところがあって充分満足できました。
ちなみに攻略見れば一周目5時間ぐらい。2周目以降は各一時間の7時間ぐらいでコンプできます。速読できる人なら、倍速使って(そういう機能がある)3〜4時間ぐらいで終るかも。でもこのシナリオ、全てテキストで表現しようとしたら、なんだかんだでコンプに15時間ぐらいかかる密度はあったと思いますし、同じ内容なら短い方が好みなんですよね。つーか、僕的にかなり贔屓したくなったゲームです(笑)。
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最近はマシンパワーに余裕が出てきて、演出の重要性が増してきてると思います。凄く良くできてるゲームって、立ち絵とかイベント絵とか効果音とかが、物語を構成するパーツ(情報)としてちゃんと活かされているんですよね。小説における挿絵みたいに「無くても構わない飾り」ではなくて、「それが無いと物語として成立しない」というレベルの演出。ぶっちゃけそういう演出ができるのは、開発に余裕がある大手メーカーとか、極一部の限られたチームだけなんですが。