何処へ行くの、あの日


現在、朝の四時。粘って桐李のエチシーンまでこぎつけた。今の所なかなか面白い。っていうか、まだ一人もクリアしてないのに、月末までにコンプできるのだろうか…。

過去へと遡行できる謎の薬「マージ」は、マージナル(境界)の略だそうな。
つまり内側と外側を分かつ「境界」を無効にする薬という事らしい。

共同体には、内側に侵入してきた異物(外側)を排除する機能がある。例えば村に日常を脅かす非日常が進入してきた時、村はその非日常をフォークロア(民間伝承)によって日常へ組みこもうとする。「村に変死体が出た」 → 「どうやら狸に化かされて死んだらしい」 というように、「変死体」という村にとって理解不能な事件を、「狸による怪異」という(村にとって)理解可能な形にする事で受け入れる事ができるわけだ。つまり外部からの異物は、フォークロアという通過儀礼を経て、初めて境界線を越えて内部に侵入できるのである。

主人公たちは幼い頃に、正体不明の「敵」と出会う。その「敵」を主人公たちは具体的な名前で呼ぶ事を避けて、「それ」とか「あれ」とか指示代名詞で通し続けるわけだが、ようは「敵」に境界線を踏み越えさせない事こそが主人公たちの戦いなのである。境界線の外にいる限り、ヤツらは主人公たちが絶対に受け入れる事のできない「敵」なのだ。

ところで『猿神退治』とか『鶴の恩返し』といった異類婚姻譚は、言わば外部と内部の婚姻の寓話だ。これらの境界は、決まって『死』という通過儀礼によって無効化される。外部のものは、一度死ぬことによってようやく内部に受け入れられるのである。ネタバレになるけど、
つまり三木村さんは死ぬ事によって母親に受け入れられようとしたわけだ。なんか物語中に死の匂いが漂っているのが良い。もっともキャラ的にはイマニ、イマサンといった感じで、けして好みのゲームとも言えないけれど(ダ・カーポはむしろ例外で、こういうのこそが呉氏本来の作風なんだろうな…)。後半に期待したい。つーか、もう寝る。