水月 ネタバレ
- 出版社/メーカー: F&C with Shall-luck
- 発売日: 2007/10/26
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以下ネタバレ
那波:「求められることで、人は存在することができますの。牧野那波という少女は…人の母の代わり、として存在している。(中略)」
透矢:「あなたとは…どういう…」
那波:「同一の存在、別の可能性ですわ。人の願いが、ナナミをこの世界に存在させている」
透矢が日常の合間にふと見てしまうナナミ様は、言わばUFOや幽霊といった超常現象の類だ。例えとしては、口裂け女や赤マントといった、真偽不明のくせに目撃例だけは事欠かない都市伝説が判りやすいだろう。それは伝承や噂話として常に人々の傍に潜在しており、条件さえ揃えば何時だろうと何処だろうと表出する「現象」なのである。
さて、リンク先の「口裂け女」や「赤マント」の例を見ると、こういった「現象」には細部の異なる様々なバリエーション(可能性)が存在する事が判るだろう。しかし「整形手術に失敗した口裂け女」も「姉に口を裂かれた口裂け女」も、可能性としては別物でありながら、存在(現象)としては同一である。これが「渡来人のナナミ」と「山ノ民の那波」の関係として言われる「同一の存在、別の可能性」という事だ。
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ちょっと話が脇に逸れるけど、こういった伝承や噂話が広まるには、それらが人々の願望に合致している必要があるのだと思う。「願いを叶える涙石と、それにまつわるナナミ伝説」なんてのは一番そのままな例だけど、怪談や猟奇的な都市伝説なんかも例外ではないだろう。それらは、あまりにも安定化してしまった日常に対しての非日常化への願望なのだ、という説に一票入れたい。実際いるでしょ? そういう話が大好きな奴。(´▽`)ノ オレトカナー
マヨイガに行きやすい、神隠しに逢いやすい、なんて奴は、要は日常の境界線の外にある「異界」に惹かれているからなのだ。そういや『空の境界』の解説で、笠井潔さんが昨今の伝奇小説ブームについて面白い事書いてたぞ。