ホワイトブレス

ホワイトブレス ?with faint hope? パッケージリニューアル版

ホワイトブレス ?with faint hope? パッケージリニューアル版


続けてこちらも一気に4人クリア。

CGは良いし(好みは判れるだろうけど僕は好き)、雰囲気も良いと思いますが、未緒シナリオとかは脈絡のないイベントが積め込まれすぎて、話がバラバラになってしまってるように思えました。未緒の家庭の問題から始まって、ののかと二者択一みたいな展開(←かなり超展開気味)にしてみたり、部活動の練習試合を挟んでみたり、いきなり引き離されそうになったり、終いにゃ主人公が倒れてみたり、なんだか落ち着きがないんですよね。一応、話としては繋がってるんだけど、何が言いたいのか伝わってこない(だいたいタイトルの『ホワイトブレスからして何が言いたいのかわからん…)。

未緒をクリアした段階でのシナリオ評価はかなり低かったんですが、その後→ののか→美乃→歩とクリアしてみたら、未緒シナリオよりはまとまってて少しずつ印象が良くなってきました。それでも終盤に主人公が倒れる展開は浮いていると思います。まぁ、病気とかを絡めて安易に泣かせようっていう発想自体が陳腐なんでしょうけれど、それでも「ここで泣かせよう、盛り上げよう」という目的意識がハッキリしてるなら別に良いと思うんですよね(コンセプトとして「クラナドではおもいっきり笑わせて、泣かせます」とかインタビューで言い切っちゃう麻枝さんはスゲェと思います)。このゲームの場合は、そういう目的意識がまず希薄。何がしたかったのか本気で判りません。

で、まぁ、未攻略キャラがまだ一人残ってる訳ですが、シナリオへの評価はせいぜい凡作って所でしょう。ただゲーム全体の印象としては悪くありませんね。スッキリしてて遊び易いデザインに仕上がっています。そこは評価できるんじゃないでしょうか。

過去のF&C作品に限らず、こういった恋愛ADVの欠陥として共通ルートの問題があると思います。例えば『CANVAS2』なんかだと、共通ルートで何度も目的のヒロインの所へ通い、ある時点で一番好感度の高いヒロインの個別ルートへと分岐するデザインです。ここで問題になるのが、この共通ルートでのイベントは、プレイヤーに読まれないかもしれないという事です。ライターは、そのイベントを「プレイヤーが読まない可能性」を考えてシナリオを構成しなくちゃならないから、ストーリーの重要な伏線などは入れ難い。結果的に、共通ルートは毒にも薬にもならないようなイベントの羅列になって、冗長になるわけですな。(だから持論として、勝負の大半はゲームデザイン、つまり企画とか構成の段階で決まってしまうと思うのです)

その点で、『ホワイトブレス』のゲームデザインって、かなりシナリオ面で優遇されてるデザインなんですよね。いわゆる共通ルート部分が事実上ないから、ライターは無駄なイベントをほとんど描く必要がないわけです。(共通ルートなしでどうやってシナリオを分岐させているかと言うと、各シナリオの序盤を細かく切り刻んで、それをプレイヤーに自由に摘ませる事で擬似的に共通ルートっぽい部分を作り出してる。各ヒロインの必須イベントを満たさないと個別ルートには入れず、実際には一本道のシナリオがヒロインの数だけあるのと変わらない)

ライターはほとんど制約無しで描けるはずのデザインなだけに、これでイマイチと感じてしまうのは、やはりライター自身の力不足を感じてしまいます。構想含めて5年って、それだけ期間あれば、もう2ランク上のモノが作れたんじゃないのかなぁと思ってしまいますねぇ。

だいたいデザインの工夫にしたって、ライター1人で描いてるんだから時間かけて頑張れば『こなたより、かなたまで』みたいにシナリオ完全分岐型(選択肢でシナリオが次々と枝分かれしていくタイプ。例えば『水月』とか、他社だけど『天使のいない12月』とか)でも作れたわけですからね。