機械仕掛けの蛇奇使い (上遠野浩平)

本屋行ったら上遠野さんの新刊が出てたのでさっそく買ってみた。ラノベは短い時間でパッと読めるから良いやね。


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ロゥ君は皇帝なんだけど、その立場自体が重荷以外の何物でもない。隙を見つけては趣味の骨董品に現を抜かし、“闘争と破壊の化身”ルルド・バイパーの物語に憧れる夢見がちな男の子(現実逃避とも言う)。その点、許嫁のユイ姫たんはロゥ君よりも遥かに大人。勝手に許嫁にされちゃうわ、頼みの婚約者はまともに会話も出来ない根暗ガキだわで、なんか嫌だなー、と思いつつもそつなく役割をこなします。そういや男の子よりも女の子の方が現実に対して冷めてるんだ、みたいな話って良く聞くなぁ。


で、6日の日記とつながる訳ですが。ようするに二人にとって帝国は、「イマジネーター」(本来は自分で考えるべき事を、自分に代わって考えてしまう何か)だったわけですな。それがクーデターによって、二人は否が応もなく “VS”イマジネーター の立場に立たされてしまうと。ロゥ君は自分を縛り続けてきた帝国を外から眺める機会を得て、自分が何と「対決(VS)」するべきか悟る訳ですな。うん、別に図った訳じゃないんですが、素晴らしいタイミングで日記のネタになったようです(笑)。


帝国というシステムによって、今まで“魂”(的なもの)を抑圧され続けてきたロゥ君とユイ姫が、そのシステムから弾かれて“魂”を解放される……はずだったんだけど、ユイ姫の方は暴走。システムそのものをブチ壊しにかかります。ロゥ君のように、新しい帝国改革案みたいなものを想像する事もできず、ただ気に入らないものを消していくユイたん。「これは運命なのよ」とか言ってる辺り、いまだ自分で何をしたいのか判っていないのだと思う。形にできないいらだちを、超兵器によって強引に形にしてしまう、みたいな構図か?


……いつもの事ですけど、上遠野さんの小説は初読だと良く判らん部分が多いです(いや、もちろんプロット自体は判り易いですけど)。