超人計画

超人計画 (角川文庫)

超人計画 (角川文庫)


滝本竜彦さんの『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』がおもいっきり僕のツボだったので、続けて『NHKにようこそ!』を買いに行く。………って、近所の本屋はのきなみ売り切れてやがった。文庫以外はめったに買わないこの僕が、めずらしくハードカバーに金払っても良いと思ったのになぁ。漫画版の方を読もうかとも思ったけれど、先に小説を読まなきゃもったいない気がするしね(でも一応は既に買ってあったりする)。

今日の所は代わりに『超人計画』を買ってみよう。エッセイってのもたまには良いだろ。


「確かに俺は二十四年間、一度も女の子と付き合ったことないけど、現実の女なんてしょせんゴミだね! 俺の脳内彼女に比べたら、生身の女なんて路傍の石ほどの価値もないね!」(本文より)

「女と付き合ってる男は全員ダメだ。外に出てチャラチャラしてるヤツは全員クズだ。俺みたいに孤独な思索生活を長年続けてきた男こそが一番恰好いいんだ!」(本文より)

……………………………………うわあ。


こ、こほん。えーと、それらの歪んだ自己欺瞞は、言うまでもなく現実に対する不満である。それは強者への妬み。目の前にある世界の変容を願う、弱者の復讐感情なのである。

現在進行形でひきこもり生活を続ける滝本氏が、世に対する全ての怨念を唾棄して「超人」になる決意をする。それこそが超人計画である。「超人」とは新しい価値を創造できる者。自らの全てを肯定できる者。忍び寄ってきた悪魔が「お前の人生は永遠にそのままなんだぜ?」と囁いてきても、「俺の人生は未来永劫このままか。最高じゃないか!」と高笑いできる強者のことである。大ニーチェ先生がそう言ってたらしいのである(たぶん)。

だから滝本氏は超人ロードを歩きだす。傍らに佇む青い髪の少女(脳内彼女 レイちゃん)に叱咤され、リアル彼女獲得へと動きだす。


レイ 「ほら早く渋谷に出かけて行って、見知らぬ女性に声を掛けるのよ!」


滝本 「す、すみませんが、もう少しだけ時間をください。まだ熱があるし……」


レイ 「ダメよ! そんなこといってあなた、また今日も一日寝て過ごすつもりなんでしょ」

(本文より。以下エンドレス)

……………う、うわあ、もう見てらんない!


ということで、実に痛々しいエッセイでした。つーか、エロゲーくさい文章だとは思ってたけど、この人って本当にエロゲーマーだったんだな。言ってることに、いちいち覚えがありすぎて、ヘタレな僕などは読んでるうちに死にたくなってきた。これは危険な本だ。まるで呪詛の塊だ。この現実を直視する冷徹さは、ある意味ハードボイルドかもしれない(だんだん適当なことを言い始めました)。

いや、まぁ、面白かったですよ? 面白かったけどさぁ。たぶんこれ読んで腹抱えて大笑いした後、しばらくしてから虚脱感に襲われまくったヘタレどもが山ほどいるんだろうな。

……くすん。僕だけじゃないですよね?