そらうたコンプ

その後、葵→たまねえとクリアしてコンプ。
突然、反魂の術だの霊力だの胡散臭い言葉が出てきて萎えたけど、まぁ、その辺は趣味の問題か。僕は「幽霊が見える」とかの大きな嘘はファンタジーとして問題なく受け入れられるんだけど、それを小さな嘘で塗り固め始められると途端に引いてしまうのだな。読み手に対して論理的な説明のされないSFは既にSFじゃないけれど、ファンタジーに対して子供だましの説明(たとえば霊力云々とかさ)を加えてしまうのも逆に興ざめではなかろうか。この辺のもどかしさ、誰か判ってくれ。(ちなみに僕内部でFateデモンベインはSF、水月やC†Cはファンタジー寄りの名作なのであった。この訴えはこれからも続けていこうと思います)

とか、いきなりケチつけてますけど話自体はなかなか良かったです。ただちょっと趣味に合わない部分があっただけ。フロントウイングのゲームを買うのは初めてで、シナリオには全く期待していなかったから予想外に楽しめた。シナリオ別でいうと真奈シナリオが良かった。知夏シナリオはキャラ魅力でギリギリ及第点、他のシナリオは部分的に良し。総合としてはまぁまぁの良作でしょうか。これなら評判の良い『グリーン・グリーン』とかを買ってみても良いな。(その前に積みゲーを何とかしろよ)


そらうたネタバレ

当初いまいち理解できなかった「主人公の心の一部がマヒしている」という設定は、ラストできちんとフォローされていた。なるほど、(文字通りの意味だけでなく、比喩としての意味も含めて)心が半分死んでいるからだったのね。それで色々と納得。最後の最後、「あれから幽霊を見ていない」という結びで終るのが何気に良かった。

普通の人間にとって死ぬことはあらゆる意味で「終り」だけど、「終り」でないことを知っている主人公にとって、死は生と地続きである。彼岸と此岸の境界線上で、主人公は生きながらにして彼岸に片足突っ込んでしまっているわけだ。心が震えない、生きている感動がない。主人公のこの世を半分さまよう感覚というのは、この世との繋がりが薄いからなのかもしれない。つまりは生きることへの執着が薄いのだな。誰とも関わりを持たずに生きてきた瀬戸内は、自分が花壇に植えた花が立派に育っているのを見て、この世と自分との繋がりを再確認する。そうして生きる執着を取り戻すわけだ。

っていうか、知夏シナリオとかもその辺の心情をシナリオの中でもっと強く表現できてれば、だいぶ印象が変わっていたと思うんだけどね。言っちゃ悪いけど、プレイしてる最中はまるで狙いが伝わってこなかった。とはいえ、シナリオを複数で手掛けてるわりには、全体的に統一したテーマがテキストから見受けられるのはたいしたものだと思う。統括している人の腕がいいのかな。