適当に生きるな

地元のアニメイトで漫画漁っていたときの話。店内に、アニメ店長のラジオ放送だかドラマCDだかが流れていた。聞くとはなしに聞いていただけだから内容はうろ覚えなんだけど、どうやらアニメ店長兄沢命斗)が「真の男」について熱く語っているらしい。


アニメ店長 「真の男とは!」

女性店員 「男とは?」

アニメ店長RPGの主人公に『ああああ』と名前を付ける奴である!」

………たぶんボタン連打で名前を決めてしまう勢いの良さを指して、「真の男」と言っているのだと思う。だがネタにマジレスするようで申し訳ないが、これから苦楽を共にしようというRPGの主人公に、『ああああ』などという適当な名前を付けてしまう奴は、僕的に最も判り合えない種類の人間である。

貴様、さては偽物だな! 本物のアニメ店長は………本物の島本キャラはそんなこと言わない! 常に命懸けでゲームに挑んでいった『インサイダーケン』の血筋を引く者が、そんなフヌケた台詞を吐くはずがないっ!

仮にも「真の男」を標榜するのであれば、迷わず実名か、さもなきゃ魂を込めた名前で常に本気プレイしてもらいたいものである。もしそのことで、友達を家に呼んだりしたときなどに、


友達 「……おまえ、この主人公の名前に『鬼刃神 流星』って付けたんだ」

のり 「う、うん」
友達 「この名前って、漫画か何かのキャラからとったの?」

のり 「………………自分で考えた」
友達 「………ふ、ふーん」

……と、何故か気まずい空気が流れてしまったとしても、僕は断固として(たとえゲームといえども)「適当に生きるな!」と熱弁を振るう。それがギャルゲーだろうと『たけしの挑戦状』だろうと、「こんな げーむに まじに なっちゃって どうするの」みたいな態度はオタクの風上にも置けないのである。ちなみに顔が真っ赤なのは怒っているからであって、別に痛いところを突かれて恥ずかしがってる訳ではないのだ本当だ。



それは舞い散る桜のように DVD-ROM版

それは舞い散る桜のように DVD-ROM版



それは舞い散る桜のように』の中で、主人公の舞人がプレイするRPGの主人公の名前は『淫乱肉奴隷』である。適当に決めたにせよ、ウケ狙いにせよ、当然ながらそれはマジで決めた名前などではあるまい。それが設定による舞人の性格なのか、それともシナリオライター自身の性格なのかは微妙なところだろう。だが、なんにせよそれは、物事に対して常に一歩引いた視線でみてしまうシナリオ氏のニヒリズムからくるものではないだろうか。『それ散る』という物語を読む限り、シナリオ氏は自身がニヒリストであることに恐ろしく自覚的だ。だからこそ『それ散る』のような作品が生まれたのだとも言える。

………うん、軽いネタのつもりで書き始めたんだけど、わりと良い話ができそうな気がしてきた(笑)。