NHKにようこそ! (滝本竜彦)
- 作者: 滝本竜彦,安倍吉俊
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/05/22
- メディア: 文庫
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名前のない妖怪はいない。
なぜなら名前(言葉)こそが妖怪の本質だからだ。
だから京極堂の行う憑物落としは、まず妖怪の名前を見極める所から始まる。
そして本来は形を持たない妄念に、まず「妖怪の名前」というカタチを与えてやる。
そうすることで、初めて人の妄念は祓い落とせるようになるのだ。
▼
さて、ここに1人の青年がいる。
青年は大学中退であり、無職であり、めったに部屋から出ることはない。
つまるところ、彼はひきこもりであった。
一日の睡眠は16時間。生活費は親の仕送り。
……いやいや、彼だって好きでひきこもっているわけではない。
何度も外に出ようと思った。バイトしなくちゃとも思ったのである。
でもできない。何故だ? それは誰にも判らない。
そう、彼は何か得体の知れない悪いモノに憑かれているのだ。
それが何だか判らないから祓い落とすこともできないのだ。
しかし合法ドラッグによりトリップした彼の脳は、ある日ついに天啓を得る。
彼に憑いていたモノ。彼を苦しめてきた陰謀。彼を陥れようとする悪の組織。
その名前は―――
N ihon (日本)
H ikikomori (ひきこもり)
K youkai (協会)
―――彼の戦いが始まった、らしい。
ということで、ようやく本屋で売ってるのを見つけてゲト。一作目『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』 → 三作目『超人計画』(エッセイ)ときて、二作目の『NHKにようこそ!』を読んでみたわけですが、まさしく一作目と三作目の中間というか・・・・・・
この人、作風が全っっっ然変わらないなぁ。引き出し少なそう、とか余計な心配をしてしまいました…。いや、凄く面白かったから良いんだけどさ。
『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』 の時も書きましたけど、『涼宮ハルヒの憂鬱』なんかに通じる面白さがありますね。ハルヒの感想でドンキホーテを持ち出していた人がいて上手いこと例えるもんだなぁと思ってたんですけど、滝本さんの小説はまさにドンキホーテ願望まるだしですね。なんか共感しちゃうなぁ。
実際問題、風車に突っ込んでったドンキホーテは幸福絶頂の顔してたに決まってるのである。ああいう生き方できたら人生さぞ楽しかろう。