天使ノ二挺拳銃

昨日の日記でアンリEDをいくつかの映画に喩えたんだけど、よく考えたらソレってネタバレ同然だったかもしれない(汗)。さっき修正したけど、僕のせいで楽しみを奪われちゃった人、もしいたら御免なさい。



例えば『デモンベイン』のシナリオって、整合性の面ではかなり怪しいはずなんですけど、それを気にする人ってあまりいませんよね。あのゲームは、あやふやな部分や、トンデモな展開を、何となく読み手に受け入れさせてしまうだけのパワーがある。『天使ノ二挺拳銃』に弱い所があるとすれば、そういう読み手を引き込むパワーが足りてなかった事じゃないかなぁと。


「読み手を引き込むパワーが足りない」だけでは抽象的過ぎると思うので具体例。


昨日も少し文句を付けたけど、後半になって明かされる「風子はいつでも肉体に戻れた」という設定。この設定には、「風子は父親に虐待を受けていた」とか、「子ども扱いする姉を疎んでいた」とか、「ラストチャイルドという立場に絶望していた」とか色々と伏線を張ってあったわけだけど、僕はこれ、どう考えても描く順番が逆だったと思う。


まず真っ先に「風子はいつでも肉体に戻れる」という設定をバラした上で、それから「父親の虐待」、「姉との関係」、「ラストチャイルドとしての立場」というように、なぜ風子が肉体に戻ろうとしないのかを描いていった方が、はるかに風子に対する読み手の共感を得られたのではないだろうか。重要なのは「これじゃあ風子が肉体に戻らないのも仕方ない」と、まず読み手に共感させることなのだ。その上で、それでも風子が肉体に戻るから感動が生まれるのだ。


このゲームのシナリオは、素材は決して悪くないと思う。整合性だって一通り取れている、にも関わらず、なぜか話の流れは不自然に思えてしまう。キャラクターの行動に読み手を共感させられない。話の整合性を取るのに精一杯で、読み手の反応を計算できていないのだ。


ぶっちゃけ、読み手の反応さえ良好なら、整合性なんて多少デタラメでも構いやしないのである(もちろん整合性が取れてるに越したことはないけどさ)。その辺を意識して、力ずくで読み手を引きずり込むような話の組み立てを覚えていけば、このライター氏は今後に期待できると思った。ただ今回は、ちょっと勿体ないゲームになってしまったかもしれない…。