シンフォニック=レイン


全部ネタバレ


al fine編ですが、僕は主人公が夢うつつっぽいのはわりと最初の方で気づいちゃってたので、最悪メタフィクションという可能性もあるのかなと思ってました。もし街全体が主人公の妄想で、トルタもファルも単なる脳内彼女でしかなかったらどうしよう、とか密かにガクブルしてたぐらいなので、あの程度で済んでよかったです(笑)。いやだってさぁ、「周囲を山に囲まれた雨の止まない街」なんて、どう考えたってメタファじゃん。そりゃあ邪推しちまうぜ。まぁ、それはそれとして、色々と曖昧だった点が次々と明かされていく過程は充分に楽しめたから良いんですが。


つーかこのゲーム、da capo編は長い長い前振りに過ぎないような。da capo編で唯一感じ入る所があったのってファルの終盤ぐらいですし、全体的にテキストが薄いというか、感情移入できるほどの叙情を感じられなかったんですよね。それがal fine編でトルタの視点になってから、もうトルタの迸るような情念の渦に痺れましたですよ。うはぁ、僕はこういうのを読みたかったんだよ〜!


今回、僕の最萌え賞は文句なしにトルタたんなのです。次いでファル。いやいや、別に黒い娘が好きってわけでもないとは思うんですけどね(笑)。なんというか、ひたむきで強すぎるが故に周囲を歪めてしまうような想いにこそシンパシーを感じてしまうというか、自我の薄い娘から搾り出されるような情念に萌えるというか。手紙を書くこともパンを焼くことも、アルとしてしかクリスに接することしかできなくて、たった一つだけ彼女が彼女のままにクリスと時間を共有できる音楽にすがってしまうトルタたん。うわやべ、切なすぎだよ超泣けるよ幼馴染はやっぱり萌えるんだよ、ああ畜生、可愛いなぁ、もう! まぁ、演奏会終わってクリスに視点が戻った辺りからの展開には、少々拙さを感じてしまいましたが。それでも充分に満足できましたね。


あと最後のアルシナリオ。寝たきりの娘に取って付けたようなEDで救済か、おめでてーな、とか思ってたんですけど、そこでフォーニが絡んでくるとは思いませんでした。これはやられた。最後の演奏会も本当に良いシーンで、後味よく終わらせることができましたね。