ルー=ガルー 忌避すべき狼 1〜2巻

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僕が京極夏彦信者である事は公言してるわけだけれど、実の所、小説版『ルー=ガルー』途中までしか読んでなかったんだ…。それで信者といえるのかというと、僕も言えない気がしてきた。そういや麻枝信者っぽいこと言いつつMOONもやってねぇ。まぁ、それはともかく『ルー=ガルー』面白いじゃーん。


舞台は近未来。誰もが「モニタ」と呼ばれる個人端末で監視され、管理されている時代。この世界では、人間は合成食物を食べるようになり、動物を殺さなくなって30年が経過している。主人公の牧野葉月は、他人から接触を受けたりすると鼻血を出してしまう「接触型コミュニケーション不全」。誰もが「死」から隔離され、血やケモノといった野生をケガレとして忌避しているこの社会において、いわば彼女は穢れた存在である(というコンプレックスを彼女自身が抱いている)。死の壁という奴だね。モニタを通した通信が当たり前になり、接触型のコミュニケーションが希薄になってしまった世界で、世界からの疎外感に苦しむ葉月と、その葉月の世界を一変させた「ケモノの匂い」を漂わせる同級生・神埜歩末。それにIQ280の天才少女・都築美緒、外市民の麗猫、ゴスロリ占い師の佐倉といった登場人物。この物語は彼女たちの友情物語、といって良いのかな。


しかしそんな彼女達の世界に、血生臭い「忌避すべき狼」の影が忍び寄る。時代が変わり、どれだけ社会が変化しようとも彼女達が「人間」という生物であることに変わりはないのであった。樋口氏の描くキャラクターの表情は、なにか生命力があってとても良い。