ファウスト Vol.3

さて、人がいないせいで今日も出勤だったんだけど、はっきり言って日曜日の業務はお留守番みたいなものなのです。特にする仕事もない社壊人の僕は、時間を有意義に使うために積んであったファウストなんぞを今更ながら読んでみるのでした。あ、ファウストったってゲーテじゃありませんよ。西尾維新さん、清涼院流水さんといったアレな作家を看板に揃え、とうとう今回は奈須きのこさん、原田宇陀児さん、元長柾木さんというエロゲライター夢の競演を実現させた“闘うイラストーリー・ノベルスマガジン”の事なのです(ライトノベルって言うな)。

まぁ、普段から世の中を斜めに見がちなハイエンド・エロゲーマーである君達なら、ライター陣の名前を見ただけで、この『ファウスト』がどんな読者層を狙ってるのか察することができるだろうね? さすが講談社! 堅気にはできない事を平然とやってのけるッ。そこにしびれる! あこがれるゥ!

というわけで、この3人の短篇だけさくっと読んでみました。
以下ネタバレを気にせず書いてます。

▼ D D D JtheE. (奈須きのこ)

少し微妙なノリの主人公だな…。挿絵からクールなイケメンをイメージしてたからちょっとコケた。まぁ、すぐ慣れたけど。

「昼間の事を夜になると忘れてしまう」という設定は、最後まで隠しておく必要性をあまり感じなかった。凝った構成は嫌いじゃないけど、話が判り難くなってしまったのはマイナス。いっそ木崎邸の悪魔払い直後辺りで説明してしまってもよかった。だいいちこの設定、きちんと消化されていない。……というか、あくまでシリーズ化を意識した設定なんだろうな。主人公である所在の憎悪や葛藤は、ラストにメモ用紙7枚分と同じ軽さで破り捨てられてしまう(おそらく主人公の軽さもそこに起因しているのだろう)。もしもこの物語がここで終ってしまうのだとすれば、所在は少し可哀相な奴だと思う。

もっとも、所在は「悪魔払い」の体験をその都度忘れてしまうことで、かろうじて人間としてのバランスを保っているのかもしれない。そうでなきゃ、こいつはいつ「払われる側」にまわってもおかしくない。


▼ サウスベリィの下で (原田宇陀児)


(´Д`;)

なんて言うか。
なんて言ったら良いのか。
なんか私小説、らしい?
……………えーと。

あの、昼飯食べた後だったんで、ちょっと頭ぼーっとしてたし。(完)


▼ ワールドミーツワールド (元長柾木)


少女の姿をした7人の拷問機械を引き連れ、人間の魂を審問する「拷問職人(ペインアーティザン)」の稀人。「へー、元長さんにしては真っ当なヒロイックファンタジーだなー」とか思っていたら、依子ちゃんという平凡な女の子の登場で怪しい雲行きに。正体不明の敵に襲われて共に逃げ出す二人。噛み合わない会話。ワールド(運命と能力が摂理の世界) ミーツ ワールド(努力が摂理の世界)


って、 ま た メ タ フ ィ ク シ ョ ン か ! !


ふつーにヒロイックファンタジーで良かったのに。いやまぁ、メタ性=批評性=ファウスト ってことなんだろうけど。普通にラノベ書いてる奈須氏だけ浮きまくってるな(笑)。


あと「佐藤友哉の人生・相談」がツボにはまった。
入水はいいぞ〜 心中はロマンだぞ〜